コンビニエンスストアのオムニチャネル戦略

: update:2015/06/05 オピニオン, マーケティング, 事例

様々な業態にて活用され始めたオムニチャネル。もちろん各コンビニエンスストアでもオムニチャネル化が進んでおります。
今回は日本の2大コンビニエンスストアチェーンのオムニチャネルの施策を紹介し、各社の戦略を読み取っていきたいと思います!

グループ各社をフル活用したセブン-イレブンのオムニチャネル戦略

セブンイレブンの母体は国内最大の小売グループであるセブン&アイ・ホールディングス。イトーヨーカドーや西武やLoftなど、多種多様な業態をもつグループのネットワークを活かしたオムニチャネルを実施しています。

セブンイレブンではコンビニとしての機能だけではなく、セブン&アイ・グループ全体の”顧客窓口”としての機能を強化してます。例えば、グループ各社の商品を販売しているECサイト「セブンネットショッピング」では、サイト内で注文した多くの商品をセブンイレブン各店にて受け取ることが出来ます。

これにより、例えばLoftが出店していない地域の顧客に対してもグループ全体としてアプローチを行い、且つ、セブンイレブンへの来店機会を増やすことが可能となります。

一方で、あまりネットに対して親しみを持っていない顧客は上記のサービスをなかなか利用してくれないことが想定されます。そこで2015年4月より、セブンイレブンの店頭にタブレット端末を設置し、「店頭でネットを利用して本を購入してもらい、受け取りも店頭で行ってもらう」というネットでの購買体験を行っています。

また、店頭での施策のため、購買のサポートを直接店員が行うことが可能になり、レジ以外での顧客接点が産まれることもアナログな施策として重要なのかもしれません。

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店頭でのネットショップング体験
(出典:セブン&アイ・ホールディングスHP)

様々な業態を持たないローソンの戦略

セブンイレブンはグループ各社が様々な業態を持っているため、各社との連携を強化し、コンビニとしてだけではない様々な”顔”を見せることによって、オムニチャネル戦略を推進しています。一方のローソンはグループ内にHMVや成城石井を持っていますが、セブン&アイ・グループと比較すると、小売業のカバー率では及びません。

では、ローソンはどのようにしてオムニチャネル戦略を進めていくのでしょうか?
その答えのひとつが「オープンプラットフォーム戦略」です。

ローソンにおけるオープンプラットフォーム戦略とは、ローソン以外の企業がローソン店舗を拠点とした注文・受取り・宅配サービス網を構築することで、お客様に商品受取・宅配などの面で利便性を提供するような戦略です。
つまり、ローソンはグループ外企業との提携・連携を強化することで、セブン&アイ・グループのような網羅的な商品の取り扱いを行うことを実現しようとしているのです。

実際にローソンはネット通販最大手のアマゾンジャパンとの提携を2014年11月より行い、ローソンの店頭に設置しているLoppiにてAmazonの商品の注文・支払い・受取の全工程を利用可能としています。

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Loppiを用いたAmazon商品の注文の流れ
(出典:http://www.lawson.co.jp/company/news/096807/

いかにコンビニ以外の”顔”を持つかが肝

今回はセブンイレブンとローソンの事例を紹介しましたが、両社とも全国各地に多くの店舗を持つ”地の利”を活かして、コンビニエンスストアとしての機能だけではなく、いかにプラスアルファの”顔”を持たせるかということに重きを置いています。

コンビニには約3000点もの商品が陳列されていますが、より多くの商品を揃え、お客様に販売していくためにはコンビニであり、百貨店であり、本屋であり、ドラッグストアであり、雑貨店でもあるというような多機能型の店舗設計をすることによって、1店舗当たりの売上を上げようとしています。

ただ単にネット上にてあらゆる商品を購入することが出来るだけであれば、Amazonや楽天を利用すればいいと考えることが出来ます。しかし、ネットに対するリテラシーがあまり高くないユーザー層に対するアプローチは難しいと考えられます。
しかし、コンビニという実際の店舗があることによって、ネットにおける購入においても人を介在したコミュニケーションを取ることが可能となり、Amazonや楽天にはない付加価値を提供することが可能となるのです。

オムニチャネルというと、”リアルとネットを繋ぐ”という面にフォーカスされがちではあります。今回紹介した2社のようにあくまでもネットはオムニチャネル戦略のツールのひとつであり、様々な顧客接点を生み出すことに注力をすることがオムニチャネル戦略の成功の要因となります。
そしてそこにはネットという”ドライ”なサービスだけではなく、人という”ウェット”なサービスが付加されることによって、顧客に対する訴求力を高めることが出来るのかもしれません。

 

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