沖縄県の”おもてなし”なインバウンド施策

昨年、2014年の日本への外国人観光客の数は約4500万人で過去最高のものとなりました。
今後も増え続けることが予測されている訪日外国人の”消費心”をキャッチすることは、小売り業にとっては大きなテーマかと思われます。
訪日外国人の目的地が東京・大阪・京都などのいわゆるゴールデンルートに偏りがちな中、アナログな方法でインバウンド施策に取り組んでいる沖縄県の事例を今回は紹介します。
官民一体での観光立県への取組み
沖縄県は本土復帰以来、国内外問わず観光客の受け入れを積極的に行ってきました。
そのため、飲食店・宿泊施設・交通機関などの各所において、他県から来た「お客様」に対する受け入れ態勢が元々充実していました。
そのため、いち早く外国人観光客に対する受け入れ態勢を構築しようとしています。
その主体となっているのが一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(以下OCVB)。
OCVBは沖縄観光の強力かつ効率的な推進体制を構築するために、観光とコンベンション分野を統合一元化し、平成8年4月に発足した「官民一体型」の沖縄県内唯一の推進母体です。
(出典:OCVBホームページ)
特にインバウンドの分野では、台湾・香港・中国・韓国の4地域を重点市場と位置づけ、
・各地域でのプロモーション展開
・那覇空港への航空路線の拡充
・クルーズ船の機構回数の増大
・県内観光関連業向けの情報発信
などを行っています。
都道府県が空港等のインフラ基盤とタッグを組んでインバウンドへの取り組みを行うことは、全国各地で行われています。
そんな中、沖縄県で特筆すべきは、
・県内観光関連業向けの情報発信
の部分。
その詳細を次の項目で紹介してまいります。
空港から個人商店まで一丸となって「おもてなし」
沖縄県が以前より観光客の受け入れに対して積極的であったことは前項にて記載しましたが、それは県庁や一部の大型商業施設に限った話ではありません。
日常から他文化圏との交流が盛んである沖縄県では、個人商店にもその意識が根付いています。
それを下支えしているのがOCVBが運営する沖縄インバウンド.net。
沖縄インバウンド.netでは、外国人観光客接遇マニュアルや沖縄関連の様々なインバウンド情報をアップロードし、全県挙げての外国人への「おもてなし」を推進しています。
(出典:沖縄インバウンド.net)
沖縄インバウンド.netでは観光客を迎え入れたいお店や宿泊施設向けに「おもてなし応援ツール」を配布し、沖縄県全土で外国人に向けたおもてなしの向上を図っています。
「おもてなし向上ツール」の中には、
・外国人観光客接遇マニュアル
・指差し会話集 (e-book)
のようなものもあれば、沖縄県らしい
・ダイビング用水中会話シート
もあります。
実際に「おもてなし向上ツール」の中を見ていみると、交通機関や商業施設、飲食店などカテゴリごとの会話集やマニュアルが用意されているため、迎え入れる側は大型施設でも個人商店でもすぐに訪日外国人向けの「おもてなし」を実践できるようになっています。
その結果、こんな声も届けられているようです!
(出典:外国人観光客接遇マニュアル)
日本が世界に誇ることの出来る文化のひとつが「おもてなし」。
せっかく外国人観光客が自分のお店に来てくれてもどうすればいいか分からない・・・。
なんてことにならないように、「おもてなし」を外国人観光客向けに全県を挙げて取り組んでいる沖縄県。
インバウンド施策というと、外国人スタッフの採用や免税店化、銀聯カードへの対応などもありますが、お金を掛けずに取り組む方法もまだまだたくさんありそうですね。
関連記事
-
-
無印良品にみるお客様との「いい関係」
「全てにコミュニケーションを」 このコトバは株式会社良品計画のHPに記載されている行動基準のひ
-
-
オムニチャネル時代のデータ分析 #1
前回はアパレル業界におけるIT化の波ということで ・ARを用いた仮想試着 ・Beaconでの商品
-
-
Apple Watchだけじゃない!ウェアラブルデバイス事例
2015年4月に発売が開始され、日本でも普及しているApple Watch。 実用化されているウェ
-
-
ジーユーの事例:オムニチャネル化されたチームが創る「やんちゃ」なブランドコミュニケーション
ITや在庫管理などのプロセスを一元化しても、組織体系が各チャネル別になってしまっているために、オムニ
-
-
【顧客に再アプローチ】リターゲティング手法のまとめ
顧客接点は店頭・EC・SNS・メルマガ・コールセンター等、様々なものがあります。 その中から、
-
-
情報配信だけじゃないBeacon活用 #2
前回に引き続き情報配信以外のBeaconの活用方法をご紹介します。 今回は街全体での取り組みやイン
-
-
オムニチャネル時代のデータ分析 #2
前回の投稿では、一昔前のデータ分析の有名事例である「おむつとビール」と最近のデータ分析の2つの事例を
-
-
ドン・キホーテのインバウンド✕オムニチャネル
2014年の日経MJヒット商品番付の東の横綱となった訪日外国人による「インバウンド消費」。 今
-
-
新体験!?映画館や映画フェスでのiBeaconを使った最新事例
オムニチャネルを加速させる技術として注目されているiBeacon。 スマートフォンにアプリさえイン
-
-
オムニチャネルでおさえるべき6つの成功要因
小売業の売り上げ拡大のポイントとなっている「オムニチャネル」。 O2O(Online to Off
- PREV
- 無印良品にみるお客様との「いい関係」
- NEXT
- Amazonが突破する「リアル店舗」の壁