オムニチャネル化を阻む最大の壁とは
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オピニオン

オムニチャネル化を阻む最大の壁
オムニチャネルは顧客に対してチャネルが総合的にアプローチする手法ですが、その結果が出ない最大の理由があります。それは組織です。
顧客がオムニチャネル化された企業の商品・サービスを購入する際、顧客が好みのチャネルを選択します。例えば、問合せはWEBで行い、実際の購買は店舗で行う等です。しかし、企業側がチャネル毎の組織になってしまっているため、チャネル横断の情報連携や一貫した対応ができず、トラブルに陥ることがあります。
スターバックス写真投稿キャンペーンでの炎上
実際にチャネル横断で情報連携ができていなかったことの失敗例を見てみましょう。
2009年、スターバックスがFlickrを利用した写真投稿キャンペーンを実施しました。写真を店頭などで撮影してFlickrにアップロードするという拡散効果を狙ったキャンペーンでした。
ある顧客がWEBでキャンペーンを実施しているのを知り、スターバックス店内で写真撮影をしようとしたところ、店員から「店内では写真撮影禁止」と注意を受けました。不思議に思った顧客がWEB管理社に問い合わせたところ、「店内撮影のポリシーは決まっていない」という返答。店員とWEB管理者の異なる対応に苛立ち、暫くしてコールセンターに電話すると、やはり「写真撮影は許可されていない」という返答。その顧客は大変怒り、掲示板などでスターバックスのキャンペーンとその対応についてネガティブな投稿をし続けたという事件でした。
チャネル毎に業務を最適化した結果、顧客に対して一貫性のコミュニケーションができなかった典型例と言えます。
目指す姿は顧客へのコミュニケーションを一元化した組織
オムニチャネルの実現ステップは、
Step 1. オムニチャネル化計画を立てる
Step 2. 店舗設備・ITシステムのオムニチャネル対応を行う
Step 3. 在庫を統合してカスタマージャーニーとしてチャネルの垣根をなくす
と一般的に定義されますが、最後のステップとして、
Step 4. 組織を統合する
ことも重要です。店舗・WEB・ソーシャル・電話などの全てのチャネルを統括した一元部署を作ることで、顧客への一貫したコミュニケーションを実現できます。しかし、現場判断でここまで踏み切ることができる組織がないのも現状です。
結局、オムニチャネルを実施できるかどうかは、トップの勇気ある意志決定にかかっていると言えるのではないでしょうか。
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