オムニチャネル時代に”物流の役割”はこう変わる

オムニチャネル時代"物流の役割”はこう変わる

輸送インフラが整備され、多くの場合翌日配送が可能な日本では、ロジスティックスは多くの場合コストや効率性の側面から語られてきました。

しかし、オムニチャネル時代に突入し「欲しいモノが、適正な価格で、必要な場所に、望むタイミングで手に入ること」が求められるようになり、その役割は変わり、さらに大きいものに変わってきています。

卓越したロジスティックスで、顧客の多様なニーズに応えられることこそが強みに

消費者にネットとリアルを自由に行き来できる購買体験を提供している企業のひとつに、ヨドバシカメラがあります。

店舗で商品を手にとっても、その場では購入せず、スマートフォンなどでスペックや評判、最低価格などを調べて、ECサイトで購入する・・・そんなショールーミングも「ヨドバシ」ショッピングアプリはサポートしています。

店頭商品のバーコードなどをアプリで読み込むと、商品情報やリアル店舗在庫の有無まで確認でき、そのまま購入もできます。送料無料で配送指定もでき、しかも多くの場合それが当日配送されるのです。
また、自宅の最寄りの店舗を指定して、そこで直接受け取ることもできます。特に東京のAKIBA店、大阪の梅田店では24時間の店頭受け取りも可能です。

これらを全て実現するためには、システム統合、ラインナップが充実した店頭在庫の管理や戦略的な配送が不可欠です。
逆に言えば、システムを含めた高度なロジスティックスの実現により、他社の追随が難しい高レベルでの独自の購買体験を提供することができるのです。

変わってきた“モノが届くことの価値”

しかし、ヨドバシカメラのように、モノを受け取る方法や場所に対する選択肢を多様にする方法は、一部の大企業にしかできない、と思われる方も多いのではないでしょうか?
もちろん同規模のロジスティックを展開することは大変難しいと思いますが、大切なのは「特別な購買体験を提供している」ということです。

ここで改めて、「モノが届くとはどういうことか?」について考えてみたいと思います。
現在の多様化したサービスに囲まれた消費者は、必ずしも早くて便利なものばかりを求めているわけではありません。

・ある人は遅くても家にいる時間帯に届く方がよいと考えるでしょう
・ある人は家に届くより最寄りのコンビニでの受け取りを望むでしょう
・ある人は早くなくても届く時間が分単位でわかることで安心できると思うでしょう
・ある人は毎回顔がわかる同じ人が届けてくれて、少し話ができることが嬉しいと思うでしょう
・ある人は届けてくれる人が特別な演出をしてくれることこそが、付加価値だと思うでしょう
・ある人は“そこ”にいかなければ手に入らないことに特別感を感じるでしょう

商品を購入するまでだけではなく、手に届くまで、あるいは使用後までも含めて、物流も消費者とのタッチポイントのひとつとして見て、独自の価値をつくれることこそが競争力の源泉となっていくでしょう。

自社組織を越える柔軟性がこれからの鍵に

しかし独自の価値を追求しつつ、独自流通網を大規模で用意できるのは、やはり一部の大企業だけでしょう。
そんな時は、提供すべき価値を考え、共同配送にしたり、必要なルートをカバーしているところを探すのも手です。例えば「このチェーン店の物流はどこがやっているのか?」という観点で既存ルートを探してそこにのせる、という具合です。

このように自社ルートだけに頼らないことは、ビジネス環境の変化へ柔軟に対応することにも繋がります。
一例としては、法改正により、以前は専門店でしか販売できなかった医薬品はスーパーやコンビニでも販売できるようになりました。その際、自社流通網を拡大するだけでなく、配送先が重なる雑誌や雑貨を扱っている既存流通網を探すという選択肢もあるのです。
また、戦略を共有しながら物流業務自体を全て外部のそれを専門にする会社に委託するという動きも高まっています。

自社の価値が何かを見極めつつ、実現方法としては自社組織内を超えた実現方法も視野に、といったより高度で戦略的なロジスティックが、オムニチャネル時代には大きな強みになります。

3PLに力を入れ、物流会社も変化している

企業側のニーズの変化に対応して、物流会社各社も3PL(サードパーティロジスティクス:顧客企業からそのサプライチェーン管理機能の一部又は全部を請け負う物流サービスのこと)に力を入れています。
BtoBにおいて国内の工場がアジアを中心に海外移転したことなどが要因で国内貨物輸送量は90年代と比べて減ったと言われていますが、こと3PLの分野については、右肩上がりの成長を続けています。

3PL市場規模の拡大
3PL市場規模の拡大

image from http://www.glpjreit.com/overview/feature01.html

また3PLを提供する物流各社は、海外展開の強化が目立ってきています。
物流会社の顧客となる企業の活動は、原材料の調達、製造、販売が国際的に分業され、物流には世界に広がった企業の活動をスムーズに最適化することが求められるようになってきています。
例えば中国は、急速に経済発展を遂げる一方で道路などのインフラに未整備の部分も多く、関税や許認可などの複雑な制度で物流がボトルネックとなることもあります。そういった諸国の事情も越えた3PLサービスへと発展することが期待されます。
そういった専門会社の動きも鑑み、最適なパートナー選びも含めた戦略的なロジスティックスが、今後ますます重要視されていくことでしょう。

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