オムニチャネル時代のデータ分析 #2

オムニチャネル時代のデータ分析 #2

前回の投稿では、一昔前のデータ分析の有名事例である「おむつとビール」と最近のデータ分析の2つの事例をまとめました。

今回はそれらの事例から、”今に則した”データ分析の手法について考えてまいります!

ビッグデータの定義

フロムアクアの事例では自販機4500台のPOSデータ、あきんどスシローでは年間10億皿以上の注文履歴という膨大なデータを保有していましたね。

では、この2つの事例で行っていたデータ分析は、ビッグデータの活用だったのでしょうか?

そもそもビックデータの大まかな定義は、
・データの量が多い(Volume)
・データの種類が多い(Variety)
・データの変化するスピードが速い(Velocity)
の3要素を抑えていることと言われています。

ビッグデータの3つのV(出典:The Customize Windows)
ビッグデータの3つのV(出典:The Customize Windows

確かに、フロムアクアの事例もあきんどスシローの事例も、元々のデータの集合は上記3要素を抑えていると考えることができます。

しかし、この2つの事例において、果たしてビッグデータを全て分析する必要があるのでしょうか?

膨大なデータをどのようにして扱うか?

もちろん、全ての膨大なデータを細かく分析することは、お金や人的リソースを掛ければ可能かもしれません。
しかし、実際には無限に費用を投下することはできないため、効率的にデータの処理を行っていく必要があります。

例えば、フロムアクアの事例において考えてみましょう。
まず、「エキナカの自販機で水を購入する人は、ペットボトルを持ち歩く」という仮説を立てておきます。(この仮説自体は「おむつとビール」のような画期的な考えではないですよね?)

次に、この仮説が正しいかを立証しなければいけません。
「よし、データ分析だ!」となってしまう前にもう少し考えてみましょう。
「エキナカの自販機で水を購入する人は、ペットボトルを持ち歩く」という仮説を立証するためには膨大なデータを分析する必要があるでしょうか?

前述のとおり、無限の費用があるのであればすぐにデータ分析に取り掛かってもいいかもしれませんが、もしそうでないのであれば、例えば自身で駅へ行って、エキナカ自販機利用者にアンケートを取ることで仮説を確かめることも出来ます。

また、あきんどスシローにおいても最初から最後までデータ分析に頼る必要はありません。あきんどスシローには”独自の勘”を持った優秀な店長がいて、日々自発的に需要予測を行っています!

それを仮説と見立てることによって、「膨大なデータから”お宝”を探す」ような気の遠くなるデータ分析をする必要はなくなります。

頭を抱える前にまずは仮説立て!
頭を抱える前にまずは仮説立て!

どのように仮説立てを行うか?

フロムアクアの事例もあきんどスシローの事例も、データを活用する前に仮説があり、その検証のためにデータを活用することによって、売上の増加やコストの削減を行うことが出来ました。

オムニチャネル化が進められている昨今では、データを1箇所に集約する必要が高まっています。データを集約することによって、当然扱うデータ量は膨大になり、データの扱いの”巧さ”が必要となります。

では、実際にどのように仮説立てを行えば良いのでしょうか?
もし自信の無い方は、下記の順序でやってみてはいかがでしょうか。

1, 課題を明確にする

仮説立てを行う前に、まずは今回行いたい仮説立て〜データ分析において、そもそも何が課題なのかを明確にしないと、ゴールに突き進むことができません。
例えばフロムアクアの場合であれば、”フロムアクアの売上の増加”が課題となります。

2, “課題”を細分化し絞り込む

課題を解決するためには、その課題の要素を見極めなければなりません。
フロムアクアの場合、「売上 = 商品単価 ✕ 販売本数」と考えることが出来ます。仮にここでは販売本数を増加させることに絞り込んでみましょう。

3, “課題の要素”を細分化し絞り込む

販売本数を増加させることの具体的な方策を考えようとしても、まだ何をすればいいのかがなかなか見えてきません。
そこで、さらに販売本数の要素を細分化して”課題の要素の要素”を見ていきましょう。
例えば「販売本数 = 味 ✕商品単価 ✕ ネーミング ✕ ボトルデザイン ✕ 天気」としてみました。徐々に仮説の輪郭がぼんやりと見えてきませんか?

4, 更に”課題の要素の要素”を細分化し絞り込む

例えば3においてボトルデザインに絞り込んだとすると、「ボトルデザイン=色 ✕ 形 ✕ サイズ ✕ ラベル ✕ キャップ」というように更なる細分化をすることが出来ます。
ここまでくれば仮説立てを行うことは容易ではないでしょうか?
「ボトルの色を青色に変更すれば販売本数が増加する」
「ボトルのサイズを500mlから280mlに変更すれば販売本数が増加する」
など、細分化した項目ごとに様々な仮説が出てきますね!

1〜4の手順のように、大もとの課題を細分化していくことにより、仮説を立てることが用意になります。

課題を細分化しながら絞り込む
課題を細分化しながら絞り込む

また、細分化しながら絞り込むことによって、バラバラな仮説が大量に生まれることもないため、その後の検証・データ分析の量も抑えることが可能となります。

 

オムニチャネル対応が必須となっている現在では、大量のデータを隅々まで調査・分析することによって”お宝”を探すことよりも、しっかりと仮説立てを行うことによって、より少ないデータでもより高い効果を得られると言えます。

“おむつとビール”の時代には、データ量が少なかったために、”宝探し”がうまくいったのかもしれませんね。

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